別名「幻蝶の魔術師」と呼ばれる青年、夢魔。夢魔と言っても皆が想像するものではない、とメルセウス談。
人間に迫害されたのを境に世界を超えた旅をしている。
変化や夢幻の魔術を得意とし、精神干渉の類には耐性がある。
また彼の蝶に触れるとありもしない記憶が見れるようだ。
魔術師と銘打っているが、考えるより先に手が出る派。
世界を旅をした物語を誰かに語るのが好き。
蒼星祈聖界クロムウェルに来た彼は、星祈王であるフィリアの教育及び観測を任されてしまい、フィリアのことを見守ることに。
「君は間違ってないよ。幾度の旅をした僕が言うのだからね」
聖剣によって選ばれた栄光と祝福を誓う星祈王となった少女。
貴族の娘ではあるものの、まだ幼いので彼女を批判する者は少なくはない。
彼女自身も、突然星祈王に選ばれたことに不安を少しばかりは覚えているようだ。
表情を作るのが苦手で、いつも無表情。
彼女の気持ちを汲み取れるメルセウスに対しては信頼を置いている様子。
真面目であり正義感が強い彼女はいずれ蒼星祈聖界クロムウェルを導く王になることだろう。
民を想い、聖剣に栄光と祝福を誓って、守り抜くと。
「この聖剣に、誓います。民のためにも」
祈りと花の女神アルティリアに選ばれた聖騎士のうちの一人で、冬の加護を世界に施す冬の聖騎士。
良く言えば純粋、悪く言えば世間知らず。
由緒ある騎士の家の生まれであり、自身もそれなりに騎士道というものを心得ている様子。
他の聖騎士との仲は良好で、特に夏の聖騎士フラムと仲が良い。
同時に、放っておけないと思われているようだ。
夢見がちでもあり、それ故に人を護れる存在というものに強い憧れを抱いている。
本来は氷魔法しか扱えなかった彼女だが、何故か時折星の力を扱うことがある。
「私、民を護る騎士になりたいんです!」
祈りと花の女神アルティリアと民から強い信頼を得ている祈騎士と呼ばれる者達と中でも特に位が高い。
真面目で勤勉、責任感も強くしかし他者には厳しくなりすぎない。そんな彼だが幻獣種のことになると豹変と言っていいほどになる。
その実、昔両親が幻獣種によって命を落とし妹も植物状態となってしまっており、以降幻獣種というものに怨念と殺意を抱くようになった。
右目も、実は昔幻獣種によって失明したもの。しかし本人としては自分の傷はどうでもいいと思っているようだ。
幻獣種が関わらなければ、子供も好きで子供と老人には優しく、そして騎士として実力もある……皆のあこがれの的となる存在であるとも言えよう。
あの日から、彼はその瞳に“復讐の炎”を宿しているのだ。それが消えることは、恐らくない。
「俺は家族の仇を取るために今此処に存在している」
幻蒼海域エルキュメリアンにおいて絶対的な王者であり暴君、であると人間からはそう囁かれる。
囁かれる通りの実力があり、その圧倒的な強さから幻獣種達の中では誰も彼に逆らうことはない。
それ故に、人間からも幻獣種からも「海帝」とも呼ばれることもある。
彼自身としては、弱者には一切興味がなく、他人がどうなろうともあまり興味はない。とは本人は言っている。
一応、必要以上に他者へ危害を加える気はないようで、不器用ながらもこちらに気を使っている瞬間が垣間見えるかもしれない。
しかしやはり、力加減が壊滅的に下手なため、ままならない。
「弱い奴は死に、強い奴が生きる。ただそれだけの話だろう」
幻蒼海域エルキュメリアンにいる幻獣種の一人であり、月蝕の大賢者という異名を持つクラーケン。
人前ではにこやかで穏やかな青年を演じているが、実はそんなニコニコしてるわけじゃないしついでも声もあんなには高くない、が本性。
冷静である者であるため、時に少し冷たいと勘違いされやすい言い方をしてしまいがちだが、彼の表情や声色を伺ってみると決して悪いように想っているわけではない、ことがわかるであろう。
また、オルティレイスから信頼を寄せられており、頭脳面では彼を頼るオルティレイスの姿が見受けられる。
強い信念、そして理性があるためどんな相手であろうと、間違っているのであればそれは違うと臆さずに意見ができる。
「僕でも、この世界で息をしているんだ。例えそれが、赦されなくても」
幻蒼海域エルキュメリアンにいる幻獣種であり、レヴィアタン。
オルティレイスやネヴァーレンの幼馴染で、彼らと一緒にいることが多くある。
こう見えても幻獣種の中では常識人であり、倫理観も人間に同調出来るほど。
本来は少し臆病な性格ではあるが、臆病と思われないように振舞おうとしている。
故に、威風堂々としているオルティレイスに対しては憧れのような感情を抱いている。
ルカレオスの周囲は彼によって励まされたりすることもあるのを本人はあまり自覚していない。
「オレ達はただ、この世界で生きているだけなんだよな」
幻蒼海域エルキュメリアンにいる「海蝕者」とも呼ばれる幻獣種。もといカリブディス。
度を越え過ぎた食欲で海をも食いつかんとするほどには餌を食べるとされるカリブディスなので、メレアティカも例外ではない。
カリブディスの「食事」に巻き込まれた人間や小さな島なども少なからずはいるとされる。
オルティレイスのことを「オル兄」と呼んで懐いているような様子である。
親を知らないで育ってきた故に、非常に無知でありしかしながらも純粋。
無垢ながらも仲間想いではあるため、仲間を傷付けられたらとてつもない怒りを見せる。
「かなしい時もうれしい時もみんないっしょだよ!」
全ての宇宙を焼き尽くすほどの力を持っており、「雷霆なる皇神」とも呼ばれていた。
天はユーディオン、海はネレアティプノスと言われている他、ネレアティプノスに対抗心に似たものを持たれている。
感情がなく、無機質。冷徹かと思いきや以外と人には思いやろうとする気遣いはある様子。
天から生まれた彼からすれば星とは、言ってしまえば自分の家族なのかもしれない。
彼は、瞬く細空をぼんやりと眺めていることもあるそうだ。
創始では、文明と宿命の理を創ったとされている。
「世界の理、特異点。継承者はどう導いていくか──」
全ての魔法・魔術の原始とし、「天落の魔導神」とも呼ばれていた。
自由気ままな性格であり、自由を愛する者である。そのためか束縛の類がちょっと苦手。
神祖によって編み出された演算を確認している役割もしており、わりと忙しい。
それでも「でもまぁ、継承者の方がもっと大変だと思うし、多少はね?」とのこと。
創始では、魔法、魔術を創ったとされている。この宇宙においての属性も定義したのも彼。
そして、彼は“全て知っている”のだ。自分の結末も、何もかもを。
自分の運命ですらも、彼は「神祖の決めたことに文句はないさ」と、どこか他人事である。
「僕が創ったものを継承者が使いこなせるか。楽しみだね」
創始では感情と理性を定義した賢慮の神祖であり、「運命なる賢神」とも呼ばれている。
神祖の中で一番最初に感情を備えた存在であり、一番感情豊かではある。
一方で理性もあるので時折冷酷な部分を見せることも。
生命が持つ心理というものもフィアリーンが定義したものに含まれており、故に心理というものには知識が長けている。
また、全ての生命に対して友好的に考えており、悪なる存在ですらも受け入れる。
フィアリーンを一言で言うならば博愛や慈愛、という言葉が相応しいとも言えるであろう。
神祖すらも受け入れるフィアリーンにはもはや苦手意識などは存在しないのであろうか。
とは言っても、フィアリーン自体もやはり神祖ではあるので余程のことがあればそれに裁きを下すものだ。
「どんな感情を持った生命だって、尊いものなのよ」
創始では生と死の理を定義した顕幽の神祖であり、「失墜の海魔神」とも呼ばれている。
星を穿つほどの力を持っていることから「天はユーディオン、海はネレアティプノス」とも考えられることもある。
フィアリーンが感情と理性を定義してからはアリストフォロス除く神祖にも感情が備えられた。
感情が備わった後は、神祖の中では比較的感情豊かであるが、表情にまったくと言っていい程出ない。ついでにあまり喋らない。
人のために怒るほど根は心優しく、そして感情になりやすい。そして決めたことは絶対に曲げないとも言える。
このように、神祖でありながらも弱き生命達にも寄り添おうとするのがネレアティプノスであり、神祖の中で比較的生命らしい。
「さて……生と死。生命達はどう足掻いていくものか」
星躔の神祖であり、新たなる神祖。「叡智なる疑似神」とも呼ばれる。
元々は███という種族だったがある出来事を境に神祖として迎え入れられることとなった。
神祖の中で唯一外の世界の出来事に干渉することが許されており、時折調停者そして観測者と共にいることがある。
調停者らを気に掛ける、心配するような様子が見受けられることもある。
まだ彼は理を定義していない。が、「幸福というものは、当人が決めることであり例え神祖であっても第三者がそれを決めることは出来ない」という幸福の理を定義すると提案をしている。
何を思ってそう言ったのかは、例え神祖相手でも語られないものであろう。
「提案。星躔の神祖である僕はこの廻星宇宙に──を定義する」
“天海の傍観者”と傍観者達にそう称させる彼は全ての海と水を征服し、波や嵐までもが彼の味方をする
███から変遷得て傍観者へと成った存在であり、異例とも呼ばれる存在。
それゆえなのか、はたまたは加減を知っているからかなのか、カルネアレイスは他の生命達をその力で危害を加えることはほとんどない。
かつては██とも呼ばれていたためか、支配者や暴君、独裁者を見るとあまりいい気分はしないようだ。
決して届かぬ場所から仲間たちの歩みを見守り続ける。幸福であれ、悲壮であれ、そのすべてを受け止めるように。
ただ傍観することしか叶わぬ孤独と、自らを含む傍観者たるものへの牽制してみせる優しさ、そこに在るのは、揺るぎなき威厳を抱いた孤高の王者の姿に他ならない。
「せめてもの、あいつらの運命は誰にも邪魔はさせないと、そう決めた」
幻獣種であり、「偽美なる神秘」の異名を持つマーメイドの一人。
マーメイドは人間を喰らう種族であるが、セラスティアはマーメイドでありながらも人間を喰らうことを好まない。
セラスティア自体の人柄もあってか、珍しく人間には警戒されていない数少ない幻獣種である。
人間の世界でプリーストをしていたこともあったので、回復魔法を心得ている。ただし魔導具を用いてだが。
所持している杖も魔導具の役割をしている他、魔導具は常に持ち歩いているほどだ。
幼い頃のオルティレイス、ネヴァーレン、ルカレオスを拾って育てた養父でもあり、子供好きである。
料理も上手な他、ガーデニングも趣味である。ダイオウイカとマリモのペットもいる。
「ひとりだけには、背負わせないよ。例えそれが呪いになったとしても」
幻蒼海域エルキュメリアンの番人である幻獣種であり、「支配を率いれる獣」の異名を持つヒュドラの一人。
一緒にいるのは眷属獣の「ごまちゃん」と「しろちゃん」。この二匹をいつも溺愛している。
かなりの実力を持っているが、本人にあまりやる気は感じられなく、ほどほどに手を抜いてはほどほどにことを成している様子が見受けられる。
断る時の言い訳もかなりいい加減なため、ネヴァーレンなどにはあまり良い印象を持たれていない。
セラスティアとは旧知の仲。ゆえに彼には比較的親しげな様子を見せている。
そしてセラスティアとは「約束」をしているらしいが、当人同士以外は知られていないことである。
「僕は約束というものに生かされているのだと、常々思うんだ」
数百年前に起こった「イルジオス殲滅計画」で消息不明のままだった、ネヴァーレンの実の妹。
誰もが生存していないだろうと思っていたが、ある日クヴァメルからの信号をネヴァーレンが奇跡的に受け取れた。
幼少期からずっと故郷である海から離れていたから画、兄であるネヴァーレンに対してですらも少しよそよそしい。
しかし嫌と言う訳ではない、というのは周りも理解している様子。
幼少期から兄と一緒に読んでいた絵本の影響で「お姫様」というものに憧れている、が、クヴァメルが幻獣種という種族な以上諦めようとしている様子も見ていて感じられるだろう。
しかし絵本の物語でも、「人魚姫」だけは何故だか無性に悲しくなってしまうらしい。
「正解がないからこそ、世界は美しいのだと私は思うんです」
もちもちな眷属獣である「みみちゃん」をわりと雑に扱っているヒュドラの女の子。愛はある。
みみちゃんの扱いでノエルメイアからお小言を言われているのはよくあること。
一見マイペースでわりと変人……に見えるが実は真面目で少し内気な女の子である。皆と仲良くしたいがために変人をやっている。
メレアティカ、クヴァメルとは仲が良いらしく、よく三人で一緒にいる様子がうかがえる。
二人には特に心を開いているようで、三人でパジャマパーティーなんかもしたりしているのだ。
ヒュドラの異名「星を喰う者」から星というものに興味を持ち、天文学の勉強をしている。
おかげでそこそこ星に詳しくなり、星の位置で方角を知れるようになった。幻獣種にしては珍しい。
「うちは、それでも……みんなのことが好き……です。うす」
知星智者と呼ばれアスルアス聖国に滞在している魔術機巧の学者であるが、その実幻獣種のうちのクラーケンの一人である。
魔術回路を用いたものに特化し、既にこの世界にいくつかの魔術回路を用いた機械と呼ばれるものを生み出している。
一見人と関わることを好まないが、意欲的な人物は好ましく思っているらしく、質問されたら答えるし理解できるまで教えることも。
一緒にいるのは実験の末に生み出された生き物であり、名前は「ララ」。一応ペットとして傍に置いている。
最初はそこまで情がなかったものの、一緒にいるうちに情が湧いてきた、らしい。
従兄弟に値するネヴァーレンに対して凄まじい執着に似たような、劣等感にも似た複雑な感情を抱いている。
その複雑な感情が生まれた結果が、今の褒め称えられる学者であるメルカイアスという存在なのであろう。
それに対し、虚しさを覚えることも時折あるようだ。
「この世界に天才や凡人などはいない。それを決めるのは愚鈍というものだ」
天刻の魔導師と呼ばれる、幾多の世界に時属性魔法を浸透させた存在。
そして一定の場所に留まらない旅人、でもある。
何処に生まれていつから生きているのか。それすらも記憶になく、記憶を探している、と本人は言う。
性格としては程々に手を抜く適当。面倒ごとはのらりくらりと躱していくひょうきんである。
自分のことを「お兄さん」と言ってはおちゃらけたりする、心の内が読めない存在とも。
魔導を扱える存在なのだから実力は確かなのだろうが……如何せん本人が力を明示するのを避けているものなのだ。
余談ではあるが研究することが好きなので一度始めてしまうとなれば部屋に籠りきりになる。
「天刻の魔導師、だなんてただのお兄さんにはもったいない話だよ」
ユグラベク祈国の騎士団である星追いの騎士団の騎士団長であり、原初の幻獣種。ではあるが、現在はその身分を隠している。
ノエルメイアとは双子の兄妹だが、もうどれくらい会っていないのかはもはや覚えてはいない。
数々の楽器を演奏することができ、特にハープを弾くのが得意。
休日などは騎士団の一員達にハープの音色を聞かせていたりもするようだ。
ユグラベク祈国に限らず、クロムウェル全体に名を馳せている“英雄”ではあるが、本人はあまり英雄と賛美されるのは好きではない。
ユグラベク祈国が今もなお存在しているのは、紛れもなくアルビオノイアのおかげとも言えよう。
長い時を生きすぎたため、ごく一部の生命以外は子供通り越して赤子にすら見えている様子。
「星追いのアルビオノイア、輝かしい騎士の誇りに誓おう」
かの世界では星律の皇帝の名を持ち、人々からは白銀の導き手とも呼ばれていた。天と氷を司り、秩序と審判の象徴。
人の営みや神々の衝突においても、安易に干渉はしないが、必要とあらばその一言が流れを変えるほどの重みを持つ。
彼女は「秩序と審判」を司る存在であり、神々の間においては冷厳なる裁き手、人々にとっては清らかなる守護者である。
その権威は唯一無二で、傲慢な神々ですら彼女の前では頭を垂れる。
星の軌道に乗った聖罰の星導界アルスノウァの声を聞いてその声に応じ、顕現したのが彼女である。
罪神達の罪を裁き、そして罪楔の神子を導く───そのために彼女は今ここに存在している。
「お前の願いは届いた。僕がここにいる。……だから、もう恐れるな」
第15の楔の罪状である「狂信」を背負っている罪神。人々を守護する聖騎士のうちの一人であった。
己の信じる秩序をもっとも重んじておりそれゆえに秩序に狂ったような一面を見せることもある。
普段は穏やかで紳士的であり、老若男女問わず平等に接する。偏見を持つようなことも普段はしない。
オルエンゲル人と呼ばれる存在であり、オルエンゲル人は尊き生命や人々を守護する宿命を持ってして生まれてきた人々である。
オルエンゲル人の中でもエリゴスは特に責任感や正義感、そして宿命を果たそうとする想いが強かったようだ。
他者のことを優先するあまりに自分のことにはあまりにも無頓着である。
心を開いた者に対しては子供っぽい表情を見せることもある。
「秩序のためならば俺はこの命を捧げることも苦ではありません」
第29の楔の罪状である「執着」を背負っている罪神。闇属性の魔法を得意とする大魔法使いであり、黒魔術の創始者。
博識であり、特に魔法や魔術の知識は全てを記憶しているほど。そして魔法や魔術にしか興味がない。
魔力も極めて高いため魔法や魔術においてはアスタロトの右に出る者はいないと言われていたほどだった。
人と関わることを極力避けているほどの人間嫌いではあるが、来るもの拒まずで意外と拒絶はしない。
魔法や魔術関連になるとむしろ自ら関りに行くほどだ。用が終わったらさっさと帰るが。
生命のことを「失敗作」などと評することを酷く嫌い、故に研究はしても決して生命体を作ることはなかった。
「俺の罪は俺が決めることだ。決してどこぞの知らない奴なんかじゃない」
第30の楔の罪状である「博愛」を背負っている罪神。全ての生命は愛されるべきだと考えている。
どこか遠い世界では溟海と祝福の神であり、賢明で忠実な聖なる使徒の創造主でもあった。
いつも自信に満ちており、海を浮かべたような眼は真っ直ぐと前を見据えている。そして声が大きい。
基本的に否定はせず、むしろ肯定的なことばかりなのだが間違っていると思ったことは指摘をする。
どんな好意も真っ直ぐと、直球に言い、そしてそれを言って照れることはない。
「この声が、星の距離の先にいる奴らに届いたらいいと願っている」
第32の楔の罪状である「憤怒」を背負っている罪神。万物に怒りを覚えており、その怒りは収まることはない。
焔の守護者とも呼ばれる、フィルアレスと言う炎の象徴の中で最も神聖なものである太陽の加護を受けた竜人であった。
怒りや憎しみ等の負の感情も否定することはなく、怒りも憎しみも生命たるものが持ちゆる愛のうちの一つであるという思考。
誰かのために怒り、誰かを傷付けられて憎しむ。それも愛を持つ者の成せる行為だと思っている。
大雑把なようにも見えるが、意外と手先は器用な方である。特に料理が出来る。得意料理はオムライス。
飴やビーフジャーキー等の硬いものをストレス解消のためによく食べている。
「チッ……面倒だな。さっさと終わらせるぞ……俺に任せておけ」
第36の楔の罪状である「叡智」を背負っている罪神。「技巧の賢天使」と呼ばれる存在であり、アンドロイドと総称される存在の中でも最初に生み出された“原初”。
その知性は神すら凌駕すると語られ、演算によって過去も未来も一定の範囲で見通すことができる。が、その運命を変えることは出来ない。
正式名称は 「Ayporos-Weisheit」。ヴァイスハイトとは「知恵」を意味し、まさに知を冠した存在である。
表情や口調には無機質さが目立つが、人間そのものを好ましく思っており、積極的に導くことはせずとも、隣に寄り添い、そっと見守るように関わっていく。
演算を最優先とし、判断を感情に委ねることはない。
「あなたの提案を承認しました。これより演算を開始します」
第59の楔の罪状である「忘却」を背負っている罪神。神託の元に人々を護る騎士であった。
彼女はかつて、星護の神ユラレクルスの神託を受け、星護の民として人々を護ることを宿命づけられていた。
その誓いは絶対であり、自らを捨ててでも使命を果たすことを選び取った少女である。
しかしその力───星律術と呼ばれるものは「記憶を代償」とするもの。
護るたびに大切な思い出を失い、やがて使命すらも忘れてしまった。
人々はそんな彼女を「神託を裏切った者」と糾弾し、騎士としての尊厳を奪った。そうしてオリアスは罪神へと成った。
今もなおオリアスは、罪を背負った自分を強く責め続けている。
「貴方様にも、宿星のご加護がありますように。そして幸福あらんことを」
祓魔軍参謀を務める若き軍師で、大佐の階級を持つ。魔浄師団に所属している。
28歳という若さで要職に就いたのは、その卓越した知略の賜物である。
幼い頃から頭脳明晰で、戦術や策を編み出す才能に優れていた。
戦闘力そのものは十分だが、前線の精鋭達と比べると見劣りするため煙たがる者もいる。
穏やかで人当たりが良く、仲間からの信頼も厚い。弟に対しても優しく、時に過保護なほど気を配る。
ただしその裏には重く深い独占欲が潜み、心の奥では弟を手放すことを恐れているようだ。
酒には滅法強く、軍の宴では場を和ませる役割を果たすことが多い。
また几帳面な性格から、日記を欠かさず書き続ける習慣がある。
そこには戦況の記録だけでなく、心情や弟への思いも記されているという。
「こういう時こそ落ち着いて。感情的になっては見えるものも見えないからね」
祓魔軍を率いる元帥でありながら、日々の鍛錬を欠かさぬ努力家であり、その求道的な姿勢は彼の人となりを示している。
自らを律し、常に鍛錬に身を置き続ける姿は、単なる形式的なものではなく、生き様そのものであり、部下たちから深い尊敬を集めている。
彼は戦場においても常に冷静であり、功績や名誉よりもまず生存を第一とした采配を下すことを信条としている。
功績や名声に執着せず、ただ兵たちが生きて帰ることを何よりも願い続けるその在り方は、時に軍の中で異彩を放ち、理解を得られないことすらある。
それでもなお、彼は決して揺らぐことなく、批判をも真摯に受け止めつつ、己の信じる道を静かに、しかし力強く貫いている。
また、大元帥を深く敬愛し、その右腕としてふさわしい存在になろうと、元帥の地位にありながらも努力を惜しまない姿は印象的である。
「厳しすぎるのも軍の士気が落ちるものだと、私は思うのです」
白髪に青い瞳という神秘的な姿から、しばしば「どこかの神や霊の末裔ではないか」と噂されるが、実際は至って普通の人間である。
儚げな見た目とは裏腹に、心は鋼のように強く、民のためならば自らの命を惜しまない覚悟を抱いている。
自らを特別視されることに違和感を抱きつつも、期待されるならば応えようとする真面目さを持っている。
また、軍人としての自覚が強く、上官に対しては忠誠を尽くし、部下に対しては慈愛をもって接する。
その姿勢は時に自己犠牲的に過ぎると周囲に心配されるが、天音自身は「命を使う場所を間違えなければ、それでいい」と揺るがない。
彼にとって、自分が生きる理由は「民の未来を守ること」であり、それ以上でもそれ以下でもない。
「俺の命が民の未来のためになるならば喜んで捧げよう」
© Hisaki Yutora / All Rights Reserved.