No.10
静かに告げる声は、波間の囁きのように柔らかく耳に届いた。 見渡せば、そこは紺碧に満ちた海底の世界。なのに、不思議と水に沈む苦しさはない。胸は軽く、むしろ澄んだ空気を吸い込んでいるかのようだった。 頭上には、星のように輝く魚たちが群れを成して泳いでゆく。光の尾が弧を描き、空間そのものが夜空のように彩られていた。 そして紺碧の海の中に浮かぶ、白と青を基調とした壮麗な建物群。建物のいくつかは、魔法に導かれるように空中へと浮かび上がり、まるで夢の城塞のような姿をしていた。 海底や建物の周囲には、光を宿した宝石のような珊瑚や鉱石が点在していた。 青や紫、淡い金色に輝くその宝石は、まるで海そのものが生きて煌めいているかのよう。 エルキュメリアンの中心にある空中に浮かぶ塔は特に大きく、威厳に満ちた建物。ここからでもよく見える。 海の光が壁に反射し、青白く輝く様はまるで星空のように神秘的で、思わず息をのむ。 「ここは、僕達――─幻獣種の拠り所だ。稀に人間が迷い込むことがある。でも拒む理由はない。受け入れることこそ、この海域の掟だからね」 振り返ったネヴァーレンは、微笑みながらも、その瞳の奥に冷静な光を宿していた。
2025.9.22(Mon) 進捗 edit
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今書いてるのとは違うやつのなんですけど、これもこれでだいぶ好きかも。
#一次創作