「俺の命が民の未来のためになるならば喜んで捧げよう」
白髪に青い瞳という神秘的な姿から、しばしば「どこかの神や霊の末裔ではないか」と噂されるが、実際は至って普通の人間である。
儚げな見た目とは裏腹に、心は鋼のように強く、民のためならば自らの命を惜しまない覚悟を抱いている。
自らを特別視されることに違和感を抱きつつも、期待されるならば応えようとする真面目さを持っている。
また、軍人としての自覚が強く、上官に対しては忠誠を尽くし、部下に対しては慈愛をもって接する。
その姿勢は時に自己犠牲的に過ぎると周囲に心配されるが、天音自身は「命を使う場所を間違えなければ、それでいい」と揺るがない。
彼にとって、自分が生きる理由は「民の未来を守ること」であり、それ以上でもそれ以下でもない。
魔浄師団を率いる師団長としての彼は、戦いにおいても日常においても常に冷静で、先を読む思考を欠かさない。
その計算高さは合理性と機略に満ちており、部下たちからは「頼れる指揮官」として信頼を寄せられている。
彼は迷わず歩みを進め、命を背負う責任を静かに抱き続けているのだ。
一人称:俺/二人称:お前、名前呼び捨て
早乙女天音は、民を守るためならば自らの命すら喜んで差し出す覚悟を抱いている。
しかしその決意は無謀な突撃ではなく、冷静な計算に裏打ちされたものだ。
彼は「利用できるものは何でも利用する」という合理性を貫き、勝利と生存の可能性を高める。
その考えは決して私利私欲に使われることはなく、すべては人々を守るために注がれる。
また、自らの限界をよく理解しているため、戦うべき場と退くべき時を見誤らない。
その姿勢は、命を投げ打つ英雄ではなく、冷徹なまでに現実を見据える守護者の姿を形づくる。
覚悟と合理性――燃える志と氷の理性、その矛盾を併せ持つ稀有な存在が彼なのである。
冷静で意志が強い天音ではあるが、恋人である八楽のことになると無意識で目で追ってたりととにかくわかりやすくなる。
八楽といると特に子供っぽい一面が出るようで、安心感と強い信頼を抱いているのが見ただけでわかる。
天音が“普通の人間”でいられるのは、きっと八楽の隣か家族の前、ぐらいなのであろう。
「生存を第一とする」という皐月の信条を、天音は深く理解し共感している。
無駄に死を選ばないその姿勢を「指揮官として最も尊ぶべき資質」と見なし、心から尊敬している。
ただ一方で、甘さと批判されることもある彼の考え方に「俺が隙を埋めて支えるべきだ」とも感じている。
冷静さを貫き、参謀として理知を尽くす梓月に対し、天音は「同じ冷徹さを持つ者」として近しい感覚を覚えている。
だが梓月の中に垣間見える、弟への強い独占欲や人間らしい執着には、少し危うさを感じている。
「軍師としては信頼できるが、人としては放っておけない」と、理性と感情の両面で気にかける対象になっている。
「「なぁ……もし俺が先に死んだら、お前は笑っててくれよ。その方が、俺はずっと救われるからさ」
「こう見えても計算は済んでる。無駄な犠牲は出させない、それが師団長の責任だろ」
「俺は軍のために、そして民のためにならば自分の命を惜しまない。それが俺に課せられた役目だからな」
「お前、今の顔、ちょっと変だったぞ。……あははっ、冗談だって!」
「ふぅ……戦場の後は甘いもんが欲しくなるな。なぁ、団子でも食いに行かないか?」
祓魔軍月守大学校に在籍していた頃から、天音は常に成績優秀であり、頭脳と実技の両面で名を知られていた。
冷静な判断力と正確な計算に基づいた行動は、学生時代から際立っていたのだ。
だが一方で、授業の合間にはよく茶を淹れては一息つくのを好んでいたという。
その延長線で、自然と茶菓子や甘いものを楽しむ習慣も身についた。
「甘味を口にすれば心も少し落ち着く」――そんな彼なりの理屈もあったらしい。
勉学や鍛錬に励む合間に茶と菓子を嗜む姿は、周囲から少し不思議がられたという。
しかしそれもまた、彼が無理をせず冷静さを保つ秘訣のひとつであった。